『六花亭』

 きっと全国にファンがたくさんいる『六花亭』は、帯広で創業した製菓会社です。良質な農産物で名高い十勝に本社を置く、その立地を存分に生かして、良質な材料を使ったお菓子作りを続けています。バリエーションは和菓子から洋菓子まで幅広く、またひとつひとつが手頃な値段であることも人気の秘密です。
 今回、取材をお願いしたい北海道の会社として、真っ先にスタッフ内で挙がった名前が『六花亭』でした。とても有名な「マルセイバターサンド」は、私もお土産でもらって食べたことがあり、サクッとしたビスケットに、挟まれている濃厚なクリームとレーズンがとてもいい相性でおいしい。小さな箱づめを独り占めしたことがあります。
 そして少し前に、『六花亭』の菓子製造に対する姿勢や、様々な文化活動も行っていることを知る機会があり、さらに興味が深くなりました。北海道の物産としてこんなにも有名な会社でありながら、手作りでなければできないお菓子があると、人の手による行程を大切にしていること。そして、歴史的に価値のある建物を美術館にし、北海道にゆかりのある芸術家の作品を展示していたり、お菓子にまつわる本を集めた図書館を持っていたりと、理想とは思っても簡単にはできないことを実現している活動を素敵だなと思いました。
 そして今回、うれしいことに取材をお願いすることができました。小田豊社長にお薦めいただいたのは、地元でも評判のジンギスカンでした。贈り物を選ぶときは「質が高くおいしいことを大前提にして、いま最も旬なものをタイミングを逃さず贈ることを大切に考えます」と小田社長。お薦めがジンギスカンだと知った時、私たちスタッフは大喜び! すっかりブームが定着した感もあり、スタッフの中にはジンギスカンファンもいたので、東京にいる私たちにとって、本当にタイムリーな一品をご推薦いただいたと思います。
 食べてみたいものがいっぱいの『六花亭』ですが、私が贈り物にしたいと思うセットが3種類あります。ラインナップからいくつか種類を選んで詰め合わせた、バターやホワイトチョコレートなど乳製品を主原料としたものが中心の「醍醐味」。焼き菓子から人気のあるものを選んだ「六花撰」。和洋問わず銘菓を詰め合わせた「十勝日誌」。それぞれのお菓子の名前も愛らしく、本当に食べたくなるものばかりなので、贈った方が箱を開けたときの笑顔が確信できるのです。

 

『六花亭製菓株式会社』
北海道帯広市西24条北1丁目3-19 
お客様相談室tel.0120-012-666
www.rokkatei.co.jp


『鈴木盛久工房』

 easyが熊谷志衣子さんに出会ったのは、7号の特集のために編集長・神田が盛岡に滞在していたときでした。同行のカメラマンがたまたま、『鈴木盛久工房』が生家であるスタイリスト熊谷隆志さんと面識があったことから、工房を訪れた折に志衣子さんとお会いすることができました。隆志さんのお母様であり『鈴木盛久工房』15代目の志衣子さんは、デザイン・型挽き・型押し・鋳込みなど、50をも超える鉄器作りのすべての工程をこなし、作品を自身のものとして発表している初の女性釜師としても注目されています。
『鈴木盛久工房』の歴史は南部鉄器の歴史とほぼ重なります。盛岡は、鉄器を作るための良質な素材に恵まれ、また藩主の南部家が文化や茶の湯に関心を持ち茶釜づくりなどを庇護したことから、南部鉄器が栄えました。『鈴木盛久工房』の初代が南部藩御用鋳物師として盛岡へ招かれたのは寛永2年(1625)。以来、伝統の技を高め続け、13代目は無形文化財の指定を受けました。14代目である志衣子さんのお父様は、東京芸術大学の教授として、また正倉院の文化財の復元を手掛けたことや、盛岡駅コンコースの精巧なオブジェ「フクローの樹」を監修したことでも知られています。それほど由緒のある工房を受け継いでいらっしゃる志衣子さんですが、easyがお訪ねした際、お店の裏手にある工房や作業中の様子をこころよく案内してくださったそうです。編集長・神田はそのときの志衣子さんの対応に「とても感動した」と話していました。
 キリリと端正な定番の霰(あられ)模様に加え、『鈴木盛久工房』の作品には独特の細かい肌合いのものが多いのが特徴です。また、「盛久の茶」と賞される、赤みを帯びた柔らかな茶色も魅力です。その肌質や色合いは、長い年月のあいだにはぐくまれてきた技と、高い技術により生まれました。伝統の茶釜から、鉄瓶、さらに日常でも使えるような茶托や香炉、ミニトレーに至るまで、どれも凛とした佇まいがあり、伝統の意匠と洗練された美しさ、そしてモダンさがあります。
 志衣子さんは、かつて彫金を学ばれた技術を生かし、鋳型に1日1個が精一杯という細やかな模様押しをほどこしたり、今まで別の職人さんが作っていた「つまみ」を自身で制作されたりしています。さらにベテランの職人さんが驚くような発想を「どうしてもやってみたい」と挑戦していくこともあるそうです。志衣子さんの作品は、全国伝統的工芸品展で「内閣総理大臣賞」を受賞しました。鉄なのに柔和なフォルムと表情が、これまで男性が作ってきた鉄器と違う印象で、とても心惹かれます。
『鈴木盛久工房』の作品は『伊勢丹』特選和食器のフロアや、雑貨ショップ『KOHORO』、『SIMPLICITY』のHPでも見ることができます。独特のあたたかさと柔らかさを、ぜひ手にしてみてください。

 

『鈴木盛久工房』
岩手県盛岡市南大通1-6-7 
tel.019-622-3809
www.suzukimorihisa.com/

WEBショップ
8612.teacup.com/juzantei/shop/


『漆器 能作』

 10号・特集『FOLKLORE』を作ったとき。「漆器について取材したい」と金沢市役所の方にご相談したところ、ご紹介いただいたのが『漆器 能作』社長、岡能久さんでした。『能作』は、金沢で220年の歴史を誇る漆器の老舗。その7代目である岡能久社長は「漆器だけではなく、加賀の文化全般にお詳しい」と市役所の方がおっしゃっていたのですが、本当にその通り。岡社長は素晴らしい方で、駆け足の取材でしたが、金沢市内の本店に出向きお会いしてお話を伺えたことは、本当に意義ある体験になりました。
 石川県はたくさんの伝統工芸を抱えるところで、漆器だけでも「輪島塗」「山中塗」「金沢漆器」というそれぞれ特徴ある産地があります。「輪島塗」と「山中塗」は、発祥の頃からの特色を生かし、普段使いのものの生産に力を入れ時代に適応してきましたが、もともと藩主の調度品を作っていた「金沢漆器」の存亡が心配されてきました。『能作』の岡社長は、その「金沢漆器」の保護・普及に力を注いでおられます。とりわけ素晴らしいのは、洋食器『ヘレンド』と「金沢漆器」を組み合わせて見せたプレゼンテーション。今まで各地で何度も行っておられるのですが、シャープな形を持ち繊細な蒔絵がほどこされた「金沢漆器」と、精緻で美しい絵付けがなされた『ヘレンド』の組み合わせは、現代的な洗練を感じさせ、それはそれは見事です。
 そういった取り組みも含めて、お店の質の高さを実感できるのが『能作』本店です。1階から3階まで、伝統の加賀文化に基づく品から現代の生活にあった食器まで、各フロアごとにとてもうまく展示してあります。そして、その品ひとつずつの趣味が本当によく、欲しいと思えるモダンなものが多い。過去から現在までの金沢の漆器の世界そのものがぎゅっと詰まっている感じのお店です。金沢を訪ねたら、ぜひ足を運んでみてください。
 そして、お店に行けなくても『能作』の漆器を買うことができます。電話で用途や予算を伝えると、お薦めの品を何点か見つくろって、メールで写真を送ってくれます。その方法で、贈り物用に夫婦箸を購入したことがありますが、その親切で行届いたご対応にもまた、老舗らしさを感じました。

 

『漆器 能作』
石川県金沢市広坂1-1-60 tel.076-263-8121
www.kanazawa.gr.jp/nosaku


『やまつ辻田 』

 easy6号の「SWEET」特集で、「親切・ていねい・ひと手間」が感じられるお店のあれこれを紹介したとき、「ラッピング&パッケージ」のコーナーで登場したのが、『やまつ辻田』による、伊勢辰の江戸千代紙を巻いた七味の小缶「千代の七味」でした。今でもこの小缶を発見したときのうれしさを覚えています。「これぞ!」という商品を紹介したくて、何日も雑誌やインターネットでリサーチしたり、いろいろなお店を訪ね歩く日々。そしてあるデパ地下の小さなスペースで、色とりどりの小さな缶たちと目が合ったとき、思わず携帯電話のカメラで写真を撮りました。こだわりの国産たかの爪や、ごま、山椒などを扱う『やまつ辻田』のことを知ったのは、それがきっかけです。
 さっそく『やまつ辻田』へ取材のお願いをすると、すぐにたくさんの柄の缶を送ってくださいました。しかも、七味やごま、柚七味も一緒にどっさり! スタッフ一同大感激でした。そして「千代の七味」は、柄が50種類もあること、しかもそれを女性社長が手がけられていることを知り、「大人の女性の遊びごころと心づかい」にとても気持ちが華やぎました。
 その後、出来上がったeasy本誌を社長が大変気に入ってくださったこともあり、「いつかまた何かの機会があれば…」とずっと思っていたのです。そして今号の企画が決まったとき、「きっと辻田社長なら、女性がうれしくなるようなものをご紹介くださるに違いない」と、ご協力をお願いしました。
『やまつ辻田』にも贈り物にしたくなるような商品がたくさんあります。いま一番のおすすめは、切手を貼って郵送できる七味の手紙です。辛さが鼻に抜けていく、希少な国産の唐辛子を使った七味と、新鮮な香りがどこまでも広がる柚七味、このふたつが平らな袋に入っていて、裏に住所を書くスペースがあります。なんて心ときめくアイデア! しかも袋の柄は、なんともおめでたい宝づくし。もちろん辻田社長が楽しみながら考えられた商品です。お鍋の季節に誰かに送れば、さりげないけれど忘れられない贈り物になること間違いありません。とくに柚七味は、冬にぜひとも味わってほしい逸品です。柚子は、種から育った樹齢100年を超す木に実るものが使われています。果実の表皮が厚く、香りの素のペクチンがたっぷり詰まっているのだそうです。収穫を手伝い、手で皮をむき、ていねいに石臼で挽かれています。他の素材も、産地へ足を運びこだわったものだけが使われています。こうしてできた柚七味は、普通のものとは桁ちがいの香りなのです。
 自慢の素材がカゴに詰め合わせれた「くさぐさの土産」も、お取り寄せしたくなるギフトセットです。
 

『やまつ辻田』
大阪府堺市福田280 
tel.072-236-1223 
www.yamatsu-tsujita.com



『奥井海生堂 』

 雑誌を見ていたときふと目に留まり、それから気になっていた商品があります。それが『奥井海生堂』の化粧箱でした。そのとき見たのは黒と白のモノトーンの古典的な柄でしたが、とてもモダンな印象が鮮明に記憶に残りました。HPを見てみると、ほかにもあでやかで大胆な柄のセンスのいい箱がたくさん! しかもサイズは、CDサイズ、B4、A4…と暮らしのなかで使いやすい大きさです。さらによく見ると、お店なら表記したいはずの店名や商品名が入っていません。きっと、もらった人があとで使いやすいようにとの配慮です。こんな箱が作れるなんて、よっぽど商品自体に自信がなければできないことです。それもそのはず『奥井海生堂』は、京都をはじめ全国の高級料亭で愛用されている極上の昆布を扱う老舗なのでした。
 そうしてeasy6号の「お店のSWEET/ラッピング&パッケージ」のコーナーで紹介させていただくことになった『奥井海生堂』の化粧箱。このとき恐縮してしまうほど沢山送ってくださった箱は、今もイージーの事務所やスタッフの自宅でそれぞれ愛用されています。
 箱作りは専務の奥井光子さんが取り仕切っていらっしゃいます。少しでも柔らかい風合いが出るようにと、手もみ仕上げされた越前和紙が使われています。今までの和紙のイメージにない色あわせがとても新鮮で、女性ならきっと誰でも虜になってしまうものばかり。さらに贈答用の包装紙は、箱と共柄の和紙。丈夫なので粋なランチョンマットとして利用できます。なんてぜいたくな気持ちにさせてくれる贈り物!
『奥井海生堂』の社長は、昆布が採れる頃、みずから北海道の産地を走り回り、地元の人の協力のもと、一級品の昆布をすべて集めてくることに情熱を注いでいらっしゃいます。昆布は、同じ産地でも場所によって質が違い、しかも自然のものなので、収穫年の気候や海の状態によって毎年、出来が左右されます。だから、いい昆布はヴィンテージワインと同じだと言われています。『奥井海生堂』が扱うのは、最高級の天然ものが採れると有名な利尻、羅臼、日高産のもの。さらにそれらの昆布を、光と外気から遮断し、一定の湿度を保つ特別な蔵で1〜3年寝かせて世に送り出しています。その際には、それぞれの昆布の熟成具合いにも気が配られています。手間ひまかけて旨みが熟成した昆布からは、ぬめりや臭みのない、澄んだ色の滋味深いだしがひけます。自宅でふだん使いできるものや、おぼろ昆布、おしゃぶり昆布、つくだ煮なども豊富で、好きなものを箱に詰め合わせることができます。この楽しさ、ぜひ試してみてください。
 

『奥井海生堂』
福井県敦賀市神楽町1-4-10 Tel.0770-22-0493
www.konbu.co.jp


『三才』

  京都の『三才』は、斉藤三才さん、斉藤上太郎さんという、お二人の着物作家のブランドを中心に、着物と和装品の製造・企画を行っています。斉藤三才さんは、染色作家であった先代・斉藤才三郎さんの志を受け継ぎながらも斬新な着物を発表し続け、「着物界の風雲児」と呼ばれる人。今では、現代的で斬新な着物を「三才流」と言ったりするほどです。
 その斉藤三才さんの三男、斉藤上太郎さんのことは、レップ・オフィス「プロスペール」を主宰する佐藤
桂維子さんに教えていただきました。着付け師範の免状も持っている佐藤さんおすすめの斉藤上太郎さん。どんな着物をお作りになるのかとHPを見て、そのモダンな感覚に驚きました。着物について詳しくはないのですが、瓦の墨色などの、どちらかという渋い日本古来の配色に踊る大胆な柄に、こういう「ジャパン」が在るべきモダンなのではと新しい発見をしました。まだ実物を拝見する機会に恵まれないのですが、ぜひ見たいと思っています。毎年新作を発表していますが、05年秋は「東京コレクション」にも参加。とても好評でした。
 斉藤上太郎さんは、かつて、自身の洋服のプレタポルテ・ブランドも持っていたそうで、そういった経歴もモダンな着物製作の背景になっている気がします。また05年秋からは、和の伝統的な手法と融合を計りながら、家具やプロダクトのプロデュースも始めました。その活動からは、「現代の日本」を追求する姿勢を強く感じます。
 


『株式会社 三才』
京都府京都市出雲路俵町43
tel.075-256-2011
www.san-sai.com/


『益久染織研究所 』

 easy11号のコットン特集で「綿」について調べていたとき、昔ながらの手作りの布「和紡布」のことを知りました。そして撮影のための商品を探していたとき、「取材をお願いしたい」と思ったのが『益久染織研究所』でした。まず、「和紡布」の風合いがシンプルに伝わってくるような、ナチュラル感のあるパッケージに「きっと、うそのない商品だ」という予感がしました。HPでは「和紡布」の製造過程や、使われている綿自体のこと、糸のこと、織りのこと、そして利用方法もていねいに紹介されており、暮らし全体で使えるように商品のバリエーションもたくさん。『益久染織研究所』の「和紡布」への想いがとても感じられ、こころがあたたかくなりました。
 なかでも感銘を受けたのは、益久社長のメッセージが掲載されているページです。社長は、しっかりとお顔写真と手書きの名前を添えて、ご自身の考えや願いを語っておられます。製品への誠実なこだわりと、『益久染織研究所』の活動と意義、人と自然へのまなざし。社長の人柄が、飾らずまっすぐ伝わってくるようでした。そしてそれは、そのまま製品にも表れているのだと思いました。益久では、手つむぎの糸や草木染の織物をはじめ、糸車や織り機も販売しています。その本格的な取り組みからは社長の情熱も感じられます。もの作りを軸に、自然と向き合いながら共に暮らす道を実践しておられ、そのこともとても尊いことだと感じられました。
「和紡布」はとても優秀な布です。ふんわりとした太い糸が、ふつうの木綿タオルの1.2〜1.5倍もの水分を含むので、フキンに適しています。また糸のデコボコが汚れを取ってくれるので、軽い油汚れなら水だけで洗いものや洗車ができます。お風呂では、お湯でぬらして体をこすり洗いすればさっぱり。簡単なメイクも落とすことができるそうです。もちろんタオルとしても機能的です。さらに家具や電化製品お掃除にもいいのだそう。有機木綿(オーガニックコットン)を使っているので健康にもよく、そのやわらかい肌触りは、寝具として使っても手放せなくなるといいます。イージー12号でも「ブランケット」を紹介させていただき、お世話になりました。アトピーや肌の弱い方にもぴったりで、あかちゃんからお年寄りまで安心して使うことが出来ます。
「和紡布」を作るためには、人の手による綿の栽培から、ふくらみを持たせるための糸つむぎ、やわらかい糸に負担をかけないための織り…と、大変な手間と時間がかかります。けれどもそれを大切に守り、先人の知恵や工夫がたくさん詰まった昔ながらの布を作り広めていくことは、とてもすばらしいと思います。「和紡布」を使っていると、人と自然の恵みにしみじみと感謝の気持ちがわいてきます。
 

『益久染織研究所』
奈良県生駒郡斑鳩町興留4-10-20 tel.0745-75-7714
www.masuhisa-naturecolor.co.jp